日時:平成29年11月15日(日)13時より 会場:田野々の棚田「棚田音楽祭」会場
(演奏日誌 崔 宗宝)
山、山、また山。徳島空港から友人の車に乗り込んで、音楽祭を開催する場所まで2時間ほど走りました。この日は「にほんの里100選」に選ばれた徳島県上勝町の棚田で、“大地にささげる音楽祭”が開かれました。私は里山コンサート第63回として、参加させていただきました。いつもと違って今回は、地元の上勝中学校と小学校及び地元のお年寄りのサークルの方々も出演して、とても賑やかな音楽祭でした。
徳島県は80%が山と言われ、平地はとても少ないのです。上勝町は、徳島県中央部の山間部に位置する豊かな水と杉の山並みが美しい山里です。その姿は、200年前から現在までほぼ変わらない状態で残されています。今回の音楽祭の会場は棚田の上に作られており、観客は上の棚田に座って下の舞台を見るという、まるでイタリアのローマ野外劇場のような風景でした。音楽祭のオープンニンーグは田野々名若連の方々が日本の伝統音楽を演奏し、そのあとのオカリナサークルの素敵な演奏も素晴らしかったです。そしてそのあとが私の出番です。
この上勝町の棚田の風景を見て、日本の童謡「赤とんぼ」が1番似合うかなと思い、上勝中学校の二年生の野田あつ子ちゃんに急なお願いをし、彼女のフルートの伴奏で「赤とんぼ」を歌いました。あつ子ちゃんはとても上手で、旋律を教えたらすぐ演奏できました。棚田に座っている観客は大興奮となりました。あつ子ちゃん!ありがとう😊今日の里山コンサートは、私自分自身もすごく楽しかった。小学生と中学生達と一緒に舞台を立ち、音楽に交流ができて、本当に良かったと思います。 第64回里山コンサートは青森です。どんな風景を見れるか、どんな方々とお目にかかれるか、今から楽しみです。
朝日新聞徳島県版2017年11月6日記事より
棚田に響く プロの歌
上勝音楽祭 中国の崔さん披露
好天に恵まれた3連休最終日の5日、上勝町旭田野々で「第16回棚田の音色大地にささげる音楽祭」が開かれた。近くの八重地地区が、20091年発表の「にほんの里100選」(朝日新聞社、森林文化協会主催)に選ばれたのを記念し、中国人バリトン歌手、崔宗宝さんが出演。里山の景観を背景に美しく豊かな歌声を響かせた。
この日朝に徳島入りした崔さんは「景色が美しく、人があたたかい。でも、あと10年もすると人がいなくなる地区があると聞いた。この里山をなんとか残さないと」と語った。
音楽祭では、稲刈りを終えた棚田を階段状のホールに見立て、徳島市のマーチングバンドや地元のだんじり囃子、小中学生らがステージに立った。崔さんが歌う童謡「赤とんぼ」の伴奏は、町立上勝中音楽部員でフルート奏者の野田亜寿桂子さん(14歳)。野田さんはこの日のリハーサル後に、崔さんに伴奏を頼まれたといい、「最初は頭が真っ白になったけど、頑張りました。」とにっこり。崔さんは「音程がとても安定していた。」と評した。オカリナグループ「エスペランサ」の赤根登喜恵さん(59)は「美声と声量、人柄もすてきでした。」と話した。
実行委員長の武市泰徳さんは「今年も良いコメができた。大地に感謝するために続けている音楽祭に沢山の人が集まってくれて、すばらしい音楽を届けることができました。」と語った。
徳島新聞(2017年11月10日)より
演奏や合唱 棚田に響く
上勝 音楽祭に聴衆300人
上野町旭の「田野々の棚田」で「棚田の音色 大地に捧げる音楽祭」が開かれた。町内外の6組が楽器演奏や合唱を披露し、約300人が聞き入った。棚田に設けられたステージには、日本各地の棚田を巡る中国人オペラ歌手の崔宗宝さん(57)=神奈川県大和市=が登場。「アメージン・ググレイス」や「フニクリフニクラ」などの名曲を高らかに歌い上げた。
童謡「赤とんぼ」では、上勝中学校3年(14)がフルートで共演。柔らかな歌声と音色が秋の空に響き渡り、来場者からは大きな拍手が送られた。
上勝中の25人は板野町出身のシンガーソングライター、アンジェラ・アキさんの「手紙~拝啓十五の君へ」を合唱した。県内のマーチング愛好者でつくる「トクシマインディゴウズ」のパフォーマンスもあった。
野田さんは「崔さんとの演奏は新鮮で楽しかった。上勝中生として最後の音楽祭となり、寂しいが、とても良い経験になった」と話した。(松村万由子)
参加したファン四宮様からの感想文
第63回徳島上勝町棚田の音色 四宮ヨシ
4年越しの恋人を待つような・・・・・待ち焦がれた今回の「にほんの里100選」コンサート。4年前、2013年4月6日、徳島県三郷(大神高開)の地、春満開でみごとな芝桜の咲く石積みコンサート(の予定でした)。春の雨台風で、崔さんを乗せた朝一番の飛行機は?開催は?帰りの便は?と気をもむ一日であったが、開始後まもなく大雨となり、石積みの民家から急遽「ほたる館」へ移動、地元の人達、関係者の尽力、配慮で滞りなく進行でき、感謝の連続だったと記憶している。
本県2か所目の今回上勝町は三棚田(八重地・市宇・多野々)のコンサートを毎年順番に開催し、実施の時期、運営等は担当実行委員会が進め、町の活性化につなげていることを知り、それに乗せていただいた。
田野々のコンサートは稲刈り後の棚田にコンパネを敷いてステージを作り、階段になった観客席からもよく見える配慮づくり。地元の上勝小、中学生の合唱、地元女性グループのオカリナ、だんじりの祭囃子等、地元の人達が自らの手で継続開催し、絆づくりにつなげている。そんな山里に本物のバリトン歌手、崔宗宝氏の来徳は有り難く嬉しい限りでである。
柔らかく声量のある歌声は、心から晴れやかに胸の奥底から「ぐわ~!」と迫ってきて、自然に涙が出て止まらなくなった。背筋を伸ばし聴き入った。特に中学生(フルート)の伴奏での「赤とんぼ」は、天高く、やわならな、やさしい日本語の音色が響き、私達聴衆もたっぷりと酔いしれたが、14才の彼女には大変よい幸運に恵まれた機会となり、一生の宝となることでしょう。小中学生の子供達にとって、本物に目で耳で肌で心で触れられたことは、大きな思い出となりました。これからも音楽を楽しめる子供が育ってくれることを祈っています。
『秋天に 田の音色 伸びる子ら』
棚田音楽祭実行委員会武市泰徳様からのお便り
先日は、棚田音楽祭出演に関して大変お世話になりました。
先ずは、崔さんの声掛けで一緒にフルートを演奏された中学校の野田さんよりの言葉です。「オペラ歌手の方と一緒に演奏するというのは、今までしたことのない経験で、とてもよかったです。今の私はフルートの技術も音楽の知識もまだまだなので、沢山努力していきたいと思います。これからも上勝町に楽しく素敵な音楽を届けたいと思います。崔さん、お声をかけていただいて、本当にありがとうございました。」
続きまして、私(武市様)の方からお礼を申し上げます。この棚田音楽祭で県外より参加された方は、崔さんが初めてでした。今回、棚田で風を感じられて選んでいただいた曲。本当にこの上勝町にあった曲を歌っていただいて、本当にありがとうございました。また、観客スタッフ一同の心を魅了する歌声。上勝の田野々の棚田で歌っていただいて、本当にありがとうございました。
里山100選での出演もまだあると思いますが、先ずは体調崩さぬように十分お気を付けください。そして各地の里山へその素晴らしい歌声を届けてもらえたらと思います。崔さんに出演して頂いたことは棚田音楽祭実行委員会の一生の思い出になるでしょう。短くはありますが
、今回の謝礼文含めとさせていただきます。また、上勝町で歌っていただけたら幸いです。
今回世話役の後援会会員による同行記
第63回徳島上勝町里山コンサート晴天にて終了
崔宗宝後援会会員 榎本えみ
ステージは棚田、観客席も棚田、大自然が舞台の里山流音楽祭、周辺地元住民総出の音楽祭が、時間ピッタリに始まりました。インディゴウズのスターティングマーチで始まりを告げ、収穫祭に奉納する『だんじり』、地元女性の方たちのオカリナ演奏の次が、崔さんの持ち時間でした。次に小学校と中学校の歌と合唱、帰りの飛行機の時間の菅家で最後まで参加できませんでした。
その自然の中で崔さんが歌うとき、その声は深い山懐の中で溶け込み、コンサート前に100選の地「八重地」に足を延ばして、畑の野菜は青々と育ち、広くひろくまさにローマのコロッセオの中にいるような感覚に酔いしれた、そのまんまの感情がコンサート会場でも広がりました。
野田さんという女子中学生が、崔さんの要望で即興でフルートにて「赤とんぼ」を伴奏しました。この何とも自然に溶け込む崔さんの想定内(私にとっては)の声掛けに、棚田に敷物をしいて聞いてくださる観客の皆様には、きっときっと想定外のうれしい出来事だったと思います。崔さんの自然体に生きる人柄の一面を今回も楽しませていただきました。
崔さんありがとうございました。
森林文化協会様、そんな崔さんの活動を支えていただきまして、ありがとうございます。