阿仁根子(あにねっこ)秋田県

森とともに暮らす

かつてのマタギの中心地。山菜やキノコ採りなど森に密着して暮らす。能楽の一種「根子番楽」など伝統行事を守り里を活性化。

  • 交通:秋田駅から車で110分/JR奥羽本線鷹ノ巣駅乗り換え、秋田内陸縦貫鉄道笑内駅より徒歩30分
  • 特産:またたび、山菜
  • 直売:阿仁町直売会「またたび館」0186-69-2575/JAあきたラポール森吉直売コーナー 0186-60-5151
  • 宿問い合わせ:北秋田市観光案内所 四季美館 0186-75-3188

※ 交通アクセスや店舗情報などは、お出かけ前にご確認ください。

※ 車ナビは、里を訪れる際の目標ポイントを数値化したマップコードで、()内が施設名や地点です。地図では★で示しました。カーナビのマップコード検索で利用できます。

11. 阿仁根子

2014年09月04日

ガイド にほんの里100選9 グリーンパワー2014年9月号から

マタギ発祥の地 番楽を伝承
 
 根子(ねっこ)トンネル(全長575.8m)を抜けると、根子の里を一望できる踊り場のような場所に出る。緑の山々にぐるりと囲まれ、家々が肩を寄せ合うようにしてたたずむ「阿仁(あに)根子」の美しい山里風景が目に飛び込んでくる。
 

周囲を緑の山、森に囲まれた阿仁根子の集落


 トンネルは1975 年に開通。開通前は山越えの林道しかなかった。冬はもちろん、雪のない季節でも「隠れ里」「陸の孤島」と呼びたくなる集落だった。
 
 しかし、人々は孤立していなかった。外の情報を常に取り込む旺盛な知識欲と伝統文化を守り受け継ぐ心。それらを支えたのがマタギの存在だった。
 
 マタギは「東北地方の山間に居住する古い伝統を持った狩人の群」(広辞苑)。独特な山の神信仰とシカリ(頭領)を中心にした組織行動を特徴とし、東北の山々だけでなく、北海道や関東、北信越、中部地方まで旅していたという。阿仁根子は、根子出身のマタギが周辺村落に移り住んでマタギの技を広めたことなどから「マタギ発祥の地」とされる。
 
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「根子番楽」の1演目「鞍馬」の一場面(北秋田市観光協会提供)


 
 全盛期は明治時代中頃。熊の胆(い)は「金の値段」と呼ばれるほど高く売れた。毛皮の行商などでも収益を上げ、集落を経済的に支えた。各地での見聞を伝え、里の文化水準を高めた。
 
 しかし戦後の高度経済成長を経て生活様式は大きく変わった。ここ数年で最後のマタギも世を去り、いま約60 戸の根子集落にマタギはいない。
 
 毎年8 月14 日の夜、地区は「根子番楽(ばんがく)」の公演でにぎわう。古くから伝わる神楽の一種で、2004 年、国の重要無形民俗文化財に指定された。根子番楽保存会が年間を通して子どもたちとともに稽古を絶やさず、次世代へ優れた伝統芸能を伝えている。
 
 根子自治会長の佐藤哲也さん(72)は「少子高齢化は進む一方だが、住民同士助け合う山里の良さを感じながら環境と景観を守って暮らしています」と話した。
 
(グリーンパワー2014年9月号から転載)

2014年06月02日

写真展「阿仁根子」、新宿で開催 6月4~17日

 「にほんの里100選」阿仁根子で写真家の戸川覚さんが撮影取材した作品を展示する写真展「阿仁根子」が、2014年6月4日(水)~17日(火)、東京都新宿区西新宿6丁目6-2 ヒルトン東京地下1階「ヒルトピア アートスクエア」で開かれます。「いのちの伝承-日本の世界自然遺産をめぐるいとなみ」と題された企画展への参加展です。写真以外に根子集落の資料も展示します。10:30~19:00(最終日は15:00まで)、入場無料。最寄駅は地下鉄の丸ノ内線西新宿駅または大江戸線都庁前駅(徒歩4~5分ほど)。

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