サイクル旅日記

[2009-05-01]
にほんの里100選ツーリング27 ▽因島重井町・広島県尾道市(71)
●今治→因島重井町(広島県尾道市)→尾道駅

▽因島重井町・広島県尾道市(71)
 今治からしまなみ街道へ。快晴、風も弱く、おだやかな瀬戸内の海をみながら快走。瀬戸内海に浮かぶ因島では、山肌から大きな岩が顔を見せる白滝山に登る。見た感じで険しい上りとわかるので、途中の駐車場に自転車を置いて歩いて登ることにする。車道を7〜8百メートルほど登ると、次は階段状の険しい参道をさらに7〜8百メートル登って山頂に立つ。頂上からは360度の展望。生口(いく)橋、因島大橋、瀬戸内海が見渡せ、素晴らしい景観だ。また、頂上一帯には五百羅漢の石像が建てられている。かっては信仰の山であったようだが、今日は観光客ばかりのようだ。山を降りて、重井(しげい)西港近くの除虫菊の栽培地に向かう。山肌から瀬戸内海に向かって白い除虫菊が今を盛りと咲き誇っている。かっては蚊取り線香の原料となる一大栽培地だったようだが、化学薬品の普及等で次第に減り、いまは個人1人と2団体が観賞用に栽培しているに過ぎないという。因島で泊まろうかと迷ったが、天候に恵まれ、景色の良いしまなみ街道をいっきに走しりたいという思いのほうが強く、尾道の中心街まで走ってしまった。今日の宿泊は尾道駅の近くのビジネスホテルとする。走行距離113、25km。
 写真は白滝山から見た瀬戸内海、五百羅漢、除虫菊と重井西港、因島大橋。



[2009-04-30]
にほんの里100選ツーリング26 ▽上畑野川・愛媛県久万高原町(79)
●桂川渓谷キャンプ場→内子町→上畑野川(愛媛県久万高原町)→青木地蔵堂

▽上畑野川・愛媛県久万高原町(79)
 昨日の朝は寒さでテントからでたくない。猛烈に冷え込んだようだ。今の時期にはく息が白いとは。昼間は半袖シャツで走ったのに。昼と夜の温度差が激しいのに驚く。久万高原町上畑野川地区へのルートはなんとおりもある。経済コースを調べると、県道29、国道197、県道32、国道56、あとは一本道で国道380、国道33号。国道380の途中まではほぼ平坦で順調、今日中に上畑野川に着くと思っていたら、内子町から久万高原町までの15キロが上り、休み休み走って2時間30分もかかってしまい、久万高原ふるさと旅行村キャンプ場に着いたのが午後5時30分。上畑野川は明日一番で行くことにする。今日は朝一番で上畑野川に行く。農作業をしているお二人に話かけてみる。ヤマウチさんとオオタさん。この地区では農業は米と野菜を作っている人が多い。マスとアマゴの養殖もやっている。ヤマウチさんのところでは米とハウスでピーマンなどの野菜を作っているという。米は個人の人が買ってくれ、ここの米を食べると他の米は食べられないと言ってくれている。農協へだすより高く買ってくれ助かる。ここの米がうまいのは、土地が粘土質なこと、水が良いこと、有機栽培であるからだと思う。魚の養殖も順調なのは水が良いからだと思う。この地区では元気な女性がいろいろと活動していると聞いているけどというと、ああオバサンたちがよくわからないけど、月に2、3回集まって、料理を作ったり、いろいろやっているらしいヨという。このあと因島を目指すが、時間的にとても今日中には着かない。国道196号を走っていると、天気は良いし、海はきれい。どこかでキャンプをしたいと思って物色するも適当なところがない。そうこうしているうちに今治の中心地から10数キロのところにある青木地蔵堂に着いてしまった。昨年四国自転車遍路で泊まらせていただいた遍路宿だ。時間は午後4時30分。今治まで行って泊まろうか迷ったが、懐かしいのでここに泊まらせていただくことにする。走行距離89、01km。写真は上畑野川地区。




[2009-04-28]
にほんの里100選ツーリング25 ▽城川町田穂・愛媛県西予市(80)
●遊子水荷浦→城川町田穂(愛媛県西予市)→桂川渓谷キャンプ場

▽城川町田穂・愛媛県西予市(80)
 昨日下から見上げただけの段畑へ行き、今日は一番上まで登ってみる。鏡のような静かな海と対照的にそそり立つ段畑。下から見上げたのとは全く違って迫力がある。農作業をしている人がいたので話かけてみる。トリイさんご夫妻で、段畑は全部で5〜6反、12軒がこの仕事をしている。みんな半農半漁だったが、最近ははまちの養殖はやめた人が多い。家一軒建つほどいい時もあったが、餌代が高くなり、魚は安いので、あわないから。うちも平成18年にはまちの養殖をやめた。今は年金とじゃが芋の栽培で生活している。じゃが芋は輪さくがよくないので、11月に植え付け、4月に収穫。畑は半年遊ばせておくという。じゃが芋もってく。自転車だからいいヨ。気持だけいただいておくネ。自転車でどこから来たの。東京から。東京からずっと自転車で。何日かかった。定番の話がでたところで段畑をあとにする。次の目的地愛媛県西予市田穂に向かう前に、西予市役所に電話でどのルートがよいか尋ねると、自転車では県道は山道で厳しい。国道56号から宇和まで走り、県道29号で田穂に向かうほうがよいと言われ、このルートとする。田穂に着くと道路沿に茅葺き屋根の東屋風の茶堂がある。続いて棚田に行ってみる。棚田を登って行くと農作業をしている人がいたので話かけてみる。田穂がにほんの里100選に選ばれたことご存知ですかというと、ええ、私がその代表ですという。また素晴らしい人に出会った。ヒョウドウさんといい、定年で農協を退職、現在61歳。ヒュウドウさんの話では、田穂には64戸あり、そのうち棚田をもっているのは9戸、専業では厳しいので、全て兼業農家だという。後継者の話になると、子供の教育を間違えた。息子は一人は東京、もう一人は松山にいる。棚田は定年になったらやると言っていると笑いながら話している。先ほどみてきた茶堂のことを尋ねると、88の札所ではないがかなり大きな寺があり、その参拝者のお接待の場であり、近所の人がお接待にあたっているという。今日の宿泊は田穂に近い桂川渓谷キャンプ場とする。走行距離77、37km。
 写真は遊子水荷浦の段畑2枚と田穂の茶堂、棚田。



[2009-04-27]
にほんの里100選ツーリング24 ▽遊子水荷浦・愛媛県宇和島市(81)
●高知市→リバーサイド轟キャンプ場→里川(高知県四万十町)→遊子水荷浦(愛媛県宇和島市)

▽遊子水荷浦・愛媛県宇和島市(81)
 25日は、朝起きると天気予報どおり雨。9時30分雨がやんだが、今日は休養日とし、自転車には乗らないことにする。洗濯、自転車の整備、高知市内のぶらぶら歩きで一日を過ごす。
 26日は、高知から国道56号、窪川から381号を四万十川沿いに走り、4時少し前に道の駅四万十大正に着く。道の駅で里川までの距離を尋ねると、クルマで15分、上り坂で泊まるところはない。大正温泉かリバーサイド轟キャンプ場に泊まり、明日里川へ行くほうがよいと言われる。四万十川は過去2回、源流から河口まで走っているが、宿泊は何れも旅館。これまで四万十のリバーサイドキャンプをしたいと思っていたので、迷わずキャンプ場に泊まることにする。思いがかなって四万十川でキャンプ。こういうところで飲む酒はひと味もふた味も違う。
 今日はスタートしようとタイヤの点検をすると、異常に空気が減っている。パンクだ。パンク修理のあと、先ず里川へ。里川までは道の駅での説明ほど厳しい道ではなくほっとする。写真で気がつかれたでしょうか、里川沈下橋の橋脚が一ヶ所なくなっている。台風の時にでも壊れて流されてしまったのだろうか。集落の中で出会ったタケイシさんと話しをする。この集落には21戸ある。ししとうと菜の花の栽培をしている家が多い。うちはほぼ自給自足。収入はししとうと菜の花を農協に出している。年寄りがなんとか生活できる程度。娘二人が近くに嫁いで孫もいるが、後継者がいないのが悩みだという。里川から西土佐村まで昨日に引続き四万十川沿いに走る。天気は快晴、清流、緑濃い山々。こんなところを走っていると、もう何日かとどまってキャンプをしたい気持になる。午後3時宇和島に着いて、先ず市役所に立ち寄り、遊子水荷浦までのルートを尋ねる。国道56号から県道37号に入り、あとは標識にしたがって走ればよい。クルマで40分はかかるので、自転車では遊子で泊まるか、宇和島市内で泊まり、明日遊子に行くかどちらかだという。迷わず遊子で泊まることにし、民宿を紹介していただく。遊子までは県道からの景色が素晴らしい。鏡のような海。そこにつながれた漁船。雰囲気のある町。気分よく走って、午後5時30分遊子に着き、すぐ宿の近くの段畑に行く。海際から山の上まで石垣の段々畑が立ち上がり、60段にも及ぶという。食事をしながら民宿の女将から段々畑の話を聞く。4月19日に段々畑のイベントがあったが4500人もの人がやってきた。この地区では半農半漁で、段々畑で作っているのは馬鈴薯。今は全てとりつくし、なにもない。いい馬鈴薯を作るために、あとは畑を遊ばせておいたほうがよいのだという。宿の料理が素晴らしい。ご主人が脱サラの漁師で、その日泊まる人の分だけ魚を釣ってくるのだという。うまいわけだ。こんな宿に泊まることができて運がイイ。走行距離94、31km。
 写真は里川沈下橋、里川の集落、四万十川にかかる十和村の鯉のぼり、遊子水荷浦の段畑、同。




[2009-04-24]
にほんの里100選ツーリング23 ▽相名・高知県馬路村(83)
●美波町→安田川あゆおどる清流キャンプ場→馬路村(高知県)→高知市

▽相名・高知県馬路村(83)
 昨日は徳島県美波町恵比寿浜キャンプ場から高知県馬路村を目指す。ルートは二通りある。高知県東洋町からと安田町から。馬路村に電話し、自転車の場合どちらのルートがよいか尋ねると、東洋町からは近道と思われるかもしれないが、険しい上り坂があるので室戸岬経由で安田町からのルートがよいと言われる。途中にあった東洋町の手前道の駅宍くい温泉で馬路村へのルートを尋ねるとやはり室戸岬経由で安田町からのルートをすすめられる。室戸岬経由で馬路へのルートに決定。室戸岬へ向かう途中、道路脇で熟年の女性がぶんたんとはっさくを売っている。何れも一袋単位だ。自転車では重くて持てないので、一個だけ売ってくれというと、どこから来たの。東京から。ヘエ自転車でずっと東京から。これあげるよ、気をつけてといいながら二個も手渡してくれる。ぶんたんとはっさくをいただいたことより、遠くから来た見知らぬものへの気持のほうが嬉しい。燦々と降り注ぐ陽光と潮風、あたたかい気持に国道55号のシーサイドロードを快走。馬路村の近くの道の駅田野駅屋から馬路温泉に電話すると残念ながら満室。やむおえず馬路温泉の10キロほど手前の安田川あゆおどる清流キャンプ場という面白い名前のキャンプ場に泊まる。
 今日は朝一番で馬路村役場へ。総務課長の山崎さんから、村内を一周しても3キロほど、ぜひ一周してみてくださいと資料をいただく。庁舎を出ようとすると、副村長の清岡さんによびとめられ、時間がありましたら話してゆきませんかと言われ、いろいろとお話をうかがう。副村長の話では、人口1000人。村の人の顔がみんな見えるという。産業は林業で、藩政時代は江戸城のご用木になったり、昭和の時代には林業バブルの時期もあった。今は林業もなかなか厳しい。道路も県道が一本だけ、ごたぶんに漏れず、過疎化と高齢化が進んでいる。ただ営林省の貯木場だった土地がゆずの森となってよみがえり、その加工品で頑張っている。などの話を雑談をまじえながら話してくださった。村内を自転車で走っていると、ゆずを全国に宣伝するためにつくったポスターに載っている人に偶然出会う。松原さんといい、80歳近く、元公務員で、大阪にいたが両親の面倒をみるため、56歳で退職しUターン。以来ゆずの仕事をしている。有機栽培で、毎年1、5トン、15000個の収穫があるという。松原さんが時間があるなら村内を案内するからついてこいという。松原さんが軽トラックをゆっくり走らせ、私がその後を自転車でついてゆく。所々で止まって説明してくださった。馬路村をあとに、高知市内まで走り、駅の案内所で紹介していただいたはりまや橋近くのビジネスホテルに泊まる。久しぶりに赤い灯、青い灯をみて眩しい。走行距離84、79km。
 写真は馬路村。




[2009-04-22]
にほんの里100選ツーリング22 ▽八重地・徳島県上勝町(76)
●上勝町→八重地(徳島県上勝町)→美波町(徳島県)

▽八重地・徳島県上勝町(76)
 8時25分、役場の仕事が始まる少し前に上勝町役場に着くと、若い女性が庁舎前を掃いている。職員の方ですかと声をかけると、そうですという。今どき職員が庁舎前の掃除とは珍しい。当番でやっているという。にほんの里100選についてお尋ねしたいのですがというと、すぐ産業課へ案内してくれる。産業課ではお茶をいれてくださり、課長の桑原さんが地図や写真ナドノ資料でいろいろと説明してくださった。人口は2000人、面積110平方キロ、職員60人、過疎化と高齢化が進んでいる。他の市町村との合併のため協議会も結成されたが、あまりに少規模なためうまく行かず、解散したという。八重地は戸数30、産業は農業、林業、アマゴの養殖。県道からの上りがきついですがぜひ行ってみてくださいと言われ行ってみることに。役場から7キロ、45分もかかる。農作業をしている人もちらほらといるが、道路からは遠いところなので、残念ながら話をすることはできなかった。上勝町からは主に県道を走って室戸岬に向かう途中の美波町の室戸阿南海岸国定公園恵比寿浜キャンプ場に泊まる。走行距離80、19km。
 写真は上勝町八重地。




[2009-04-21]
にほんの里100選ツーリング21 ▽大神高開・徳島県吉野川市(77)
●脇町→大神高開(徳島県吉野川市)→上勝町(徳島県)

▽大神高開・徳島県吉野川市(77)
 今日の天気予報は午前中雨。6時15分、今日は連泊と思ってカーテンを開くと、予想外にも陽が射している。あわててスタートの準備をし、朝食のあと、8時スタート。徳島県吉野川市美郷村に着くと、写真のように、にほんの里ではなく、にっぽんの里100選の黄色ののぼり旗がたっている。日本の正式呼称をあえて使ったのだろうか。こののぼり旗とシバザクラ祭ののぼり旗が高開の石積の道案内となって、急傾斜の山道にたっている。私の脚力ではとてものぼりきれそうもない急傾斜だ。自転車を置いて歩いて登ることにする。20分ほどかけて登ったところでこの地区の人に出会う。なんとこの地区のただ一人の石積み職人の高開文雄さんだ。偶然とは言えこのような人に出会うとは、本当に嬉しいことだ。高開さんは300年の歴史をもつ石積み職人の家を継ぎ、築200年という家を守り、石積みの段々畑に豆、蕎麦、芋、かんきつ類などを栽培している。昔は川で採取した石を使い、石積みをしたが、今は90%以上が修復作業だという。美観を保つために、写真のようにシバザクラを植えている。石積みの技術は、大学生など次の世代に伝えようとしているという。美郷から徳島県上勝町へのルートは、いくつかあるが、高開さんの話では、自転車ではいちど徳島にでたほうが楽だという。他のルートは山越えでたいへん。ということで、急ぐ旅ではないので、遠回りとなるが楽なルートの徳島まわりとする。上勝町では、温泉が隣にある月が谷温泉キャンプ場に泊まる。このキャンプ場では無料の入浴券を発行してくれる。いいキャンプ場だ。走行距離92、48km。




[2009-04-20]
にほんの里100選ツーリング20 ▽中山・香川県小豆島町(78)
●三田市→姫路市(兵庫県)→小豆島(香川県)→高松(香川県)→脇町(徳島県)

▽中山・香川県小豆島町(78)
 昨日は兵庫県三田市から姫路へ。いろいろなルートがあるので、ほとんど国道を走らず、県道を選んで姫路へ。姫路からはフェリーで小豆島の福田港へ。いくつかあるキャンプ場のうち、日帰り温泉が近くにある吉田キャンプ場を選ぶ。このキャンプ場には炊事場とトイレがあるが管理棟がない。日帰り温泉で聞いてみると、自治会の運営でテントが張ってあると使用料の徴収にくる。来なければそれはそれまでだという。結局運よく、徴収に来なかったので無料。
 今日は島内の中山農村歌舞伎の舞台と千枚田へ行く。農村歌舞伎が伝承されているが、舞台は戸が閉められており、写真をみてもよくわからないと思う。千枚田も湯舟山の湧水が棚田を育てると言われているが、残念ながら田に水が張られる前の状態。全面的に水が張られたら、さぞ美しいだろうと想像することができる棚田だ。農作業をしている人に話かけてみる。大西さん、82才。先祖代々受け継いできた田が1町歩ほどある。これを維持していくのは大変だ。米は安いし、農器具は高いし、専業で農業を続けてゆくのは大変。うちは息子が兼業だが手伝ってくれるのでなんとかやっている。ところでどこからきたの。東京から自転車で。ヘエ東京から自転車で。東京のどこ。立川。立川知ってるョ。戦後2年ほど調布にいたんだ。そんなやりとりのあと、土庄(とのしょう)港からフェリーで高松へ。高松からは次の目的地徳島県吉野川市大神高開(おおがみたかがい)を目指し国道193号を走る。15時香川県塩江町の道の駅しおのえで大神高開までにキャンプ場や宿があるかとたずねると、徳島県に入って美馬市脇町にビジネスホテルと旅館がある。脇町がおすすめだという。今日は風が強く走りにくい。おすすめの脇町へ泊まろう。脇町へ着いてガソリンスタンドで安い宿か゛ないかとたずねると、親切にも知っているところに電話してくれ、予約までしていただいた。四国はへんろのくに、これもお接待なのだろうか。
 写真は中山農村歌舞伎の舞台と千枚田。




[2009-04-19]
にほんの里100 選ツーリング19 ▽長谷・大阪府能勢町(56)▽黒川・兵庫県川西市(59)
●能勢町→長谷(大阪府能勢町)→黒川(兵庫県川西市)→三田市(兵庫県)

▽長谷・大阪府能勢町(56)
▽黒川・兵庫県川西市(59)
 朝一番で昨日泊まったユースホステルから近い長谷へ。農作業をしている人に話かけてみる。ヤマモリさんといい、今ではめっきり少なくなった茅葺き屋根の家に住んでいる。この集落には65戸あるがみんな兼業農家。米は30キロ7〜8千円、肥料や農薬は倍に値上がりし、専業農家ではきびしい。政治家にももっと日本の米を食べることを考えてくれと言っているが、全く考えていない。棚田も減反政策が始まってからすっかり少なくなってしまった。そのうちみんな林になってしまいそうだ。と嘆いている。どこの里でもあまりイイ話を聞かない。次に浄瑠離シアターへ行ってみる。係員の話では、能勢の浄瑠離は200年余りにわたって受け継がれ、語り継がれてきた。人形を用いず、語りと三味線だけで、農業の傍ら庶民によって創られ、伝えられ、演じ続けられた貴重な地域芸能です。と説明してくださった。次に川西市の黒川に行くと、道路の花の手入れをしている女性がいたので声をかけてみる。菊炭の産地なので炭のことを聞きたいのですがというと、新聞に写真が載ったのがうちのお父さん。今いるから話を聞いてみたらという。偶然とは言え、運がイイ。今西勝さんといい、炭を焼いているのは黒川では1軒だけ。この地区は昔から良質なクヌギの産地で、そのクヌギを使った炭は、見た目の美しさと香りや燃えつきたあとに残る白い灰がお茶席には最高だという。クヌギは毎年15トン切り倒し、炭となるのは3トン。京都の問屋に卸すほか全国に宅配している。良い炭を作るには、良いクヌギを育てなければアカン。炭焼きは木を枯らさないために、成長が止まる初冬のころから木を切り初め、5月ごろまで続けるという。自然保護団体などが木を切っているとアホなことをいうが、木を切らなければイイ木が育たないことを全然わかっていない。木のこと、炭のこと、里山のことなどいろいろと話してくれる。黒川のあと、小豆島に渡るため姫路方向を目指すか゛、三田(さんだ)市まで走ったところで17時。三田駅近くのビジネスホテルに泊まる。走行距離81、73km。
 写真は能勢町長谷、浄瑠璃シアター、黒川。




[2009-04-18]
にほんの里100 選ツーリング18 ▽樒原・越畑・京都市(55)
●枚方→嵐山(京都府)→樒原・越畑(京都市)→能勢町(大阪府)

▽樒原・越畑・京都市(55)
 スタートしようと表に出ると道路が少し濡れている。昨夜雨が降ったようだ。淀川沿いの交通量の少ない府道13号を走って京都市へ。京都市では桂川沿の府道123号を走しって、渡月橋を渡り、雰囲気のある嵐山を通って、美しい峡谷の保津峡へ。ここまで気持ちよく走る。保津峡駅は写真でもわかるように、列車に乗るには吊り橋を渡って行く。ここまでは嵐山で少し上りがあったものの、ほぼ平坦な道路。今日はイイゾと思っていると、またもや保津峡駅から樒原(しきみがはら)までの10キロに1時間30分もかかる上り。樒原は美しい鎧田のある山里。少し下ったところに越畑の集落がある。ここにも棚田があり、たっている看板から、フレンドパークという貸農園をやっているようだ。昨日の穂谷もそうだが、集落でほとんど人に出会うことがなく、話を聞くことができないのが残念だ。多分タイミングが悪いのだろう。写真をとって、国道477号に出て、能勢町の長谷へ行こうか、川西市の黒川に行こうか迷いながら走る。途中にあったガソリンスタンドで宿の状況をたずねると、黒川近辺には泊まる所がない。長谷へ行く途中の能勢にはあるという。それで能勢町へ行くことに決まり。キャンプ場は予約がないとスタッフがいないのでダメだという。近くにユースホステルがあったのでそこに泊まることにする。走行距離93、54km。
 写真は保津峡駅、樒原、越畑。




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