資源の循環で調和 畜産王国
宮崎県の南部、鹿児島県境に接する都城(みやこのじょう)市。市の西北には霧島連山がそびえ、広大な盆地に農村風景が続く。2006 年1月に旧都城市と北側・東側の周辺4町(山田、高崎、高城、山之口)が合併し、市域が約2倍に拡大した。
牛、豚、鶏どれも肉の産出額が日本一を誇る畜産王国。そして農業、畜産、林業、製材業が連携、調和している。製材後に出るおがくずは豚舎などに敷かれ、おがくずと家畜の糞(ふん)尿が混じり合って優れた有機堆肥になる。焼酎造りのサツマイモも、焼酎粕かすが家畜飼料や堆肥、バイオガス発電原料になり、ほとんど廃棄物が出ない。こうした資源循環型の農林畜産業、つまり「人の営み」が特長だ。
自然の造形美も素晴らしい。霧島山地に源を発する清流が、悠久の時を経て造った「関之尾甌穴(せきのおおうけつ)群」は、国の天然記念物。長さ600 mにわたって瓶(かめ)のように浸食された奇岩が続く。
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地区住民約170 世帯400 人ほどの高崎町笛水(ふえみず)地区に、茅葺(かやぶ)き屋根の農産物直売所「茅葺の里 笛水」がある。寄付金や無償提供の建設資材を使い、住民総出の手作りで2007 年10 月に完成。また、少子高齢化の進む地元を元気づけようと、小中学校で同級生だった地区公民館長の春村光行さんと地区活性化委員会会長の竹山國比古さんの64 歳同士が中心になり、里道約7km を歩く「笛水ウオーク」を毎年4月29 日に開いている。
それでも2010 年に市内初の小中一貫校となった笛水小中学校の全校児童・生徒は、20 人程度で推移。春村さんらが現在目指しているのは、地元のゴボウなどの農産物を生かした加工食品作りと商品化、いわゆる「6次産業化」だ。二人は「若い人たちが住み、大勢の子どもたちが育つ笛水に」という夢に向け、「継続は力なり」の思いで努力を重ねている。
(グリーンパワー2015年3月号から転載)