上世屋(かみせや)京都府

笹ぶき屋根の技術継ぐ

十数戸の集落。住民がネットワークを組んで地域の活性化を目指す。笹(ささ)ぶきなどの伝統技術も伝承。棚田とブナ林、湿原も魅力。

  • 交通:京都縦貫道宮津天橋立ICから車で50分/北近畿タンゴ鉄道天橋立駅からバスで日置乗換えで60分
  • 食事:ペンション自給自足 0772-27-1741
  • 直売:常吉(つねよし)村営百貨店 0772-68-1819
  • 関連ウェブサイト:天橋立観光協会

※ 交通アクセスや店舗情報などは、お出かけ前にご確認ください。

※ 車ナビは、里を訪れる際の目標ポイントを数値化したマップコードで、()内が施設名や地点です。地図では★で示しました。カーナビのマップコード検索で利用できます。

20181026OKYA0002AGOC - コピー

2018年10月31日

崔宗宝さん、京都府の宮津・伊根で「にほんの里100選」コンサート

 中国人のオペラ歌手、崔宗宝さん(58)が10月26日、京都府の上世屋(宮津市)と伊根湾の舟屋群(伊根町)で「にほんの里100選」コンサートを開き、日本の里の素晴らしさを訴えました。後援は朝日新聞社と森林文化協会。
 崔さんは2009年7月から100選の里を訪れ、地元の学校や介護施設などで無償のコンサートを開いています。100選すべてを回ることを目指しており、上世屋が67回目、伊根湾の舟屋群が68回目。この日は「砂山」「アメージンググレイス」などを歌いました。
 写真は伊根町の特別養護老人ホーム「長寿苑」で歌う崔さん(朝日新聞社提供)

20181026OKYA0002AGOC - コピー

2015年04月02日

ガイド にほんの里100選15 グリーンパワー2015年4月号から

暮らしの知恵を 次世代に
 
 京都府北部の丹後半島。宮津湾へ注ぐ世屋川に沿って山あいへ向かうと、やがて棚田に囲まれ、入母屋づくりの古民家が並ぶ上世屋(かみせや)の里が現れる。
 

棚田と古民家が並ぶ


 すり鉢状の傾斜地に造られた棚田は、地元の人たちに加えて、ここの米を使うお酢屋さん、そして定期的に通ってくるボランティアらも加わって、作付けが続いている。周囲には冷たい水を田に入れる前に循環させて温める「コナワ」が設けられており、木で組んだ「イナキ」にイネの他、ソバや豆類など季節の収穫物を干す光景も見られる。
 
 今、この里に暮らす12 戸は古くからの住民と移住者がほぼ半々だ。大学生の時から丹後に関わり、卒業後に移住した小山有美恵さん(31)は、米作りの他、子どもたちが地域の自然を体験するプログラムも提供している。「地元の人たちに見守ってもらいながら、一緒にやらせてもらう活動が多い」と話す。
 

岳山からの眺望。奥に宮津湾が見える


  ▲  ▲  ▲
 
 今では古民家の屋根の多くがトタンで覆われているが、特徴と呼べるのは笹葺(ささぶ)き屋根。ここが教師しての初任地だったという安田潤(めぐむ)さん(66)は「厚いわらの上へ、身近で豊富なチマキザサを葺いてある。ササを使うのは防水と防腐の効果を期待している」と説明する。
 
 植物を使った民俗文化財の「藤織り」も残されている。フジの繊維から糸を作り、それで織った布が仕事着や袋に使われてきた。地元の女性たちから技術を学ぶ講習会が始まったのは30 年前。丹後藤織り保存会会長の井之本泰(とおる)さん(63)は「昔ながらの暮らしの知恵を、次世代につないでいきたい」と話す。 
 
 里の近くにはコナラやイヌシデ、ブナなどが育つ。ブナは集落が大火に見舞われた際の建築材にしたり、非常時に炭にして現金を得たりするため、大切にされてきた。そんな林を歩いて岳山(嶽山、637 m)に登ると、上世屋の里を見下ろせるばかりか、丹後半島の山々から宮津湾までの広い眺望が楽しめる。
  
(グリーンパワー2015年4月号から転載)

1 2

サイクル旅日記
ふれあい、自転車の旅
にほんの里100選をめぐった記録
崔宗宝、バリトンの旅
にほんの里100選をめぐる
オペラ歌手 里の歌旅