44. 神岡町山之村

神岡町山之村(かみおかちょうやまのむら)岐阜県

辺地の里に板倉ずらり

辺境に七つの集落計70戸。そのどの家にも全面が板造りの伝統的な倉庫「板倉(いたくら)」が残る。「寒干しだいこん」作りに力を入れる。

  • 交通:北陸道富山ICから車で105分/中央道松本ICから車で165分/東海北陸道飛騨清見ICから車で140分/JR高山本線飛騨古川駅からバス45分で神岡、 神岡から車で30分
  • 特産:飛騨春慶塗り
  • 食事:スカイドーム神岡(道の駅・レストラン・軽食・物産コーナー)0578-82-6777
  • 直売:スカイドーム神岡(道の駅・レストラン・軽食・物産コーナー)0578-82-6777
  • 宿問い合わせ:飛騨市観光協会 0577-74-1192
  • 関連ウェブサイト:飛騨市観光協会

※ 交通アクセスや店舗情報などは、お出かけ前にご確認ください。

※ 車ナビは、里を訪れる際の目標ポイントを数値化したマップコードで、()内が施設名や地点です。地図では★で示しました。カーナビのマップコード検索で利用できます。

44. 神岡町山之村

2014年11月06日

ガイド にほんの里100選11 グリーンパワー2014年11月号から

寒干し大根が人気 天空の里
  
 岐阜県東北端、飛驒市神岡町の標高850 ~ 1000m の盆地に広がる「天空の里」。茅葺(かやぶ)き民家や全面板造りの伝統的な倉庫「板倉」が残る。七つの集落があり、山之村はその総称。地名ではないため、「地図にない村」とも呼ばれる。

全面板造りの伝統的な倉庫「板倉」

 
 新感覚派の作家・中河与一(1897 ~1994)が1938 年に発表した小説『天の夕顔』の舞台となった。7 集落は、森茂(もりも)、下之本(しものもと)、伊西(いにし)、和佐府(わさふ)、打保(うつぼ)、瀬戸(せと)、岩井谷(いわいだに)。森茂に文学碑が立つ。
 
 積雪2m を超す豪雪地。かつて、冬季約5 カ月間は雪の中に孤絶する土地だった。それだけに自給自足の暮らしが根付いている。「寒干し大根」は伝統の保存食。マイナス20℃を下回ることもある厳寒の気候が作る元祖フリーズドライ食品だ。地元主婦グループが約30 年前に商品化したところ好評で、特産品となった。民家の軒先に玉すだれのように並べられ、天日干しされる風景も美しい。2012 年度には一般財団法人食品産業センターの地域食品ブランド表示基準制度「本場の本物」に選定された。
 
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緑に包まれる夏。山之村の里道を歩く「にほんの里100選」ツアーの参加者


 
 春は山菜、初夏の新緑、真夏は冷涼な気候を生かしたホウレンソウ栽培など、里は緑に包まれる。
 
 山之村出身の上平隆憲さん(74)は勤め先を定年退職後、東京都府中市の自宅と山之村の実家との間を行き来しながら、山之村の郷土史研究を続けている。登山好きで北アルプスの山々が見える古里への愛着は人一倍だ。「山に囲まれながらも明るい広い平原で開放的な景観。そして温かい人のつながりがある」と古里の魅力を語る。
 
 だが、少子高齢化が進み、住民は約70 戸170 人足らずに。上平さんの同級生で築約120 年の豪壮な農家建築を受け継ぐ松葉健治さん(75)は、「日本の田舎の原風景を守り受け継ぐのは、現在なかなか難儀。美しい田園風景を残すためにも、若い世代の交流人口を増やしたい」と、次代へ託す思いを話した。
  
(グリーンパワー2014年11月号から転載)

2013年02月27日

冬の風物詩 寒干し大根

北アルプスの麓、標高1000メートルにある山之村地区は、厳冬期にはマイナス20℃になることもある豪雪地帯です。

ここ山之村は、古来から自給自足の生活が息づいています。夏は高冷地野菜の産地として、冬はこの地の郷土食、「寒干し大根」づくりが有名で、山之村といえば寒干し大根、寒干し大根といえば山之村、といわれるまでになりました。この時期に山之村を訪れると、家々の軒下に、そろばんのように大根が吊された風景に出会うことができます。近年この風景をカメラに収めようと、訪れる人が増えました。

寒干し大根は冬は雪に閉ざされるここ山之村で、貴重な保存食として昔から食べられてきました。前回の投稿では、一度収穫した大根を土に埋め、藁帽子のように藁をかぶせている風景(地元では「だいこんつぶり」といいます。)をお届けいたしましたが、1月、「寒の入り」頃になると、いよいよこの寒干し大根づくりが本格的にスタートします。

まずは、降り積もった雪をかき分け、土の中からダイコンを取り出します。取り出されたダイコンは丁寧に水洗いし、皮をむき、輪切りにして大鍋で茹でます。

茹で上がった大根は串に刺し、家の軒下などに作られた干し場に掛けられ、寒風にさらします。今では串に刺して乾燥させる方法が一般的となりました。

しかし、藁を通して吊す、昔ながらの方法で寒干し大根を作る人もいます。

干したばかりの大根は白くツヤツヤしており、朝はダイヤモンドダストとともに輝きます。乾燥が進むにつれ、きれいなアメ色に変わっていきます。

ここ山之村はその昔、廃村の危機を迎えたこともありました。そして山之村の風土を知り尽くした人だけがこの地に残り、独自の文化を築きあげていったのです。寒干し大根も、この独自の文化を築き上げた先人達への、天からのおくりものではないでしょうか。

30年程前、この「天からのおくりもの」を商品化し、冬は雪に閉ざされる山之村を元気にしよう、と奔走した人たちがいました。かかさ(主婦達)で結成された「すずしろグループ」です。                                        商品として送り出すまでの道のりは、並大抵でなかったといいます。様々な困難を乗り越え、このグループの人たちの思いが詰まった、「奥飛騨山之村寒干し大根」は、今年もようやく出荷の時期を迎えます。

 

風物詩となった、大根の寒干し風景は終わりを迎えますが、雄大な北アルプスに抱かれたここ山之村は、まだまだ見どころいっぱいです。

皆さんもぜひ、冬の山之村へ

来てたまれや~

 

 

 

 

 

 

 

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